産業用ロボットの定義と歴史・課題

サービスロボットと呼ばれる医療、介護、福祉、接客、清掃等に活躍するタイプとは異なり、
産業用ロボットは、人に代わり製造業の工場で作業を行ってくれます。
作業内容は、溶接、塗装、組み立て、搬送・加工・組立・洗浄・バリ取り作業など多岐に渡り、
自動車産業、電子・電気産業や食品産業など幅広い分野幅広い分野で活用しています。

産業用ロボットの定義

産業用ロボットは下記のように定義されています。

日本産業規格(JIS)

自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定して又は移動機能をもって、産業自動化の用途に用いられるロボット。

注記1
産業用ロボットは、次のものを含む。
・マニピュレータ(アクチュエータを含む。)。
・制御装置[ペンダント及び通信インターフェース(ハードウェア及びソフトウェア)を含む。]。
注記2
産業用ロボットは、統合による追加軸を含む。

経済産業省 ロボット政策研究会

本研究会においては、ロボットを市場の側から捉えることに主眼を置いているため、ロボットを形状ではなく、「市場で必要とされる機能を発揮するために要素技術を統合したもの」という視点から定義することが適当である。さらに、RT(ロボット技術)とITの関係も、明確 にすべきと考えた。このため、本研究会では、「ロボット」を、「センサ、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」として、広く定義することとする。

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

NEDOでは「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」と定義。その上で、ロボットの役割を、産業用ロボットのような「生産環境における人の作業の代替」、無人システムのような「危機環境下での作業代行」、それに日常生活の中での家事支援や介護支援等の「日常生活支援」に大別している。

産業用ロボットのシェア・市場規模・トレンド

国内では、「少子高齢化」や「働き方の変化」などの要因から常に人手不足だといわれていますが、
産業用ロボットの導入により、人手不足の解消も熟練の技術が必要な作業も担えると考えられています。
また、AIの進化により、従来よりも複雑な作業を行えるため、
産業用ロボットの市場規模は年々拡大し、今後さらなる普及が進んでいくことが見込まれます。

産業用ロボットの市場規模

変動はありますが市場規模は拡大傾向にあります。

2016年 出荷額7160億円
2017年 出荷額8956億円
2018年 出荷額9322億円
2019年 出荷額8037億円
2020年 出荷額7813億円

産業用ロボットの種類・特徴・用途

産業用ロボットの特徴や用途を紹介いたします。

産業用ロボットのカテゴリ

垂直多関節ロボット

人間の腕に近い構造を持ち、現在産業界で最も使われています。複数の軸を持つため柔軟性、汎用性を持つことが特徴です。

協働ロボット

安全性を高めることで作業者と同一空間上で動かせることができるロボットです。人と協調して仕事をすることが可能です。

スカラロボット

回転軸とアームを水平方向に動かし、これに上下軸を組み合わせることで作業を行うロボットです。単純な構造かつ高速に動くのが特徴です。

パラレルリンクロボット

3本の腕が並行して並ぶパラレルリンク機構によってもたらされる、高サイクルな動作が特徴のロボットです。

直交ロボット

複数の軸を組み合わせることにより、Y軸、Z軸方向へ動くことができるロボットです。自由度の高さに比べ低コストで導入が可能です。

単軸ロボット

電動スライダ、電動アクチュエータとも呼ばれ、X軸方向のみに動くシンプルな構造のロボットです。製品の搬送などに使われます。

双腕ロボット

人間の様に胴体に対しアームを2本持つタイプのロボットで、それらを同時に動かすことで手作業のような精密な作業を行う事が可能です。

ロボットメーカー紹介

ダイドーでも取り扱いのある、主な産業ロボットのメーカーをご紹介します。

ファナック株式会社 本社所在地は山梨県。
世界「4強」産業用ロボットメーカーの一つ。
セイコーエプソン株式会社 本社所在地は長野県。
力覚センサー、スカラロボット、画像処理、6軸ロボットなどの取扱がある。
ヤマハ発動機株式会社 本社所在地は静岡県。
小型のアクチュエータから垂直多関節までメーカー統一ができる。
㈱デンソーウェーブ 本社所在地は愛知県。
QRコードやICカードの自動認識機器、産業用ロボット(FA機器)などを開発・製造。
三菱電機株式会社 本社所在地は東京都。
垂直多関節型ロボット MELFAシリーズなどがある。FA関連製品との親和性の高さも強み。
株式会社ダイヘン 本社所在地は大阪府。
変圧器をはじめとする電力機器や、産業用ロボット、溶接機、高周波電源、ワイヤレス給電システムなどを提供。
KUKA 本社所在地はドイツ・アウグスブルク。
さまざまな可搬重量、リーチ、特殊仕様の適切な産業用ロボットを提供。
株式会社FUJI 本社所在地は愛知県。
電子部品実装機(自動装着機/組立機)、工作機械の開発・製造・販売。
THKインテックス株式会社 本社所在地は東京都。
超精密高精度技術・検査測定技術・電動化技術を核としている。
株式会社不二越 本社所在地は東京都。
おもに自動車製造用ロボットの製造を行う。商標はNACHI。
Musashi AI株式会社 本社所在地は愛知県。
AI外観検査機・無人搬送車等の製造及び販売。武蔵精密工業グループのAI会社。

導入事例

ダイドーではお客様がお持ちの課題やニーズに合わせて最適なシステムやロボットのご提案をさせていただきます。
クリックで動画をご覧いただけます。

産業用ロボットのコスト

産業用ロボットを導入するコストにはロボット本体だけではなく、
センサーなどの周辺装置、安全柵などの周辺設備、ロボットを動かすためのシステムなどの費用も必要です。
ロボットのサイズや台数、機能に応じて産業用ロボットの価格はさまざまです。

導入までにかかる費用

①ロボット本体

大型・小型などのサイズ、機能、台数に応じて産業用ロボットの価格はさまざまです。

②付帯設備の費用

安全柵や架台など、ロボットを安全に使用するためには、付帯設備が必用となる場合があります。

③動作させるためのプログラム費用

自動搬送であれば通るべきルート、検査であれば判定基準など、ロボットに任意の動きや判断をさせる為にはプログラムが必要となります。

④設置工事の費用

導入するロボットや付帯設備によっては、工場内の大規模な設置工事が必用になる場合もあります。工事を行わずとも設置できるものであれば、この費用は発生しません。

システムインテグレーション

導入メリット

産業用ロボットを導入することにより、製造現場のさまざまな問題を解決する事ができます。
ここが知りたい!ロボット活用の基礎知識では、導入のメリットを具体的に下記のように述べています。

ロボットの活用は人手不足への対応という観点だけでなく、作業の高効率化や過 酷環境・危険作業からの解放、ロボットだからこそ可能な高精度な加工、品質の安 定化など、用途に応じてさまざまな効果をもたらします。 また、貴重な人材を付加価値が高くクリエイティブな仕事に注力させることができ、 それにより全体として生産性を向上させることができます。

産業用ロボットの法規制

産業用ロボットの取り扱いには、
「労働安全衛生法」や「労働安全衛生規則」などの法律や規則が制定されています。
そして、十分な知識や技術を習得し、産業用ロボットの運用に関わる作業を安全に行うために
特別教育が法律で義務付けられています。

教育・資格

ダイドー ロボット館では、労働安全衛生法 第6章 『教示等の作業に関する特別教育 第36条第31号』を2日間で受講する事が可能です。

産業用ロボット教育スケジュール

会場2拠点のダイドーロボット館で開催しております。
  • 名古屋ロボット館 〒450-0003 名古屋市中村区名駅南4-12-5
  • 東京ロボット館 〒132-0011 東京都江戸川区瑞江4-44-17
講習期間2日間
日程具体的な日程はお問合せください
受講料受講料についてはお問合せください
修了証修了日に発行します

自社の生産ラインについてのお悩み、FA・産業用ロボットについてなど、
まずはお問い合わせください。

ダイドー株式会社は、提案型・共同思考型の企業ポリシーを軸に、千差万別の現場条件に合った、最良・最新鋭の設備機器の販売、生産現場におけるお悩みや困難を解決に導くシステムの構築まで、あらゆるご相談に応じています。